木目込み雛人形のお手入れ方法を教えて?
2020年09月10日
〇衣裳着人形よりもお手入れしやすい木目込み人形
雛人形には、華やかな衣裳を幾重にも着せ付けた「衣裳着(いしょうぎ)人形」と、桐塑(とうそ:桐の粉に糊を混ぜて練った素材)製のボディに細い溝を彫り、そこに布地を「木目込(きめこ)む」方法でつくる「木目込(きめこみ)人形」があります。雛人形はいずれもデリケートですので扱い方には気を遣いますが、その特徴から木目込みの雛人形のほうが扱いやすく、長持ちするといわれています。
衣裳着人形は、木やわらの胴体に人形用の着物を重ね着させてつくるので、長年出し入れを繰り返すうちに衣裳が型崩れしたり小物が破損したりすることがあります。飾っている間のお手入れはもちろん、出す時しまう時の扱いにも気を遣い、身長に扱う必要があります。子どもたちにも、むやみに触らないように注意しなければなりませんね。
その点、木目込み人形はボディに衣裳を貼り付けるようにしてつくるので、衣裳の着崩れもしにくく、長持ちするお人形です。日々の扱いやお手入れにもさほど気を遣うことなく、安心して飾れます。木目込みの雛人形の多くは手のひらにのるほどのコンパクトサイズが多いので、飾るにしても、しまうにしても、小さくて扱いやすというメリットがあります。子どもたちと一緒に雛人形を飾りたいと願うママたちは多いと思いますが、扱いやすく型崩れしにくい木目込人形であれば、小さなお子さんと一緒に飾る楽しみも増えるでしょう。
木目込み雛人形は、飾り台やお道具もお人形にあわせた小さなつくりですので、コンパクトに飾れることはもちろん、収納する時も幅を取りません。現代の住宅事情を考えると、扱いやすい製法に加え、コンパクトなサイズ感も人気が集まる大きな理由になっています。
〇紫外線・湿気・ホコリはお雛さまの天敵です
では、雛人形を飾っている間のお手入れは、どうすればよいでしょうか?
雛人形の天敵は紫外線と湿気とホコリです。これらをお雛さまから遠ざけることで、雛人形を美しいままで長くお楽しみいただくことができます。
紫外線は衣裳の色褪せやお顔の劣化を招きます。紫外線を防ぐためには、飾る場所を考えることから始めましょう。昨今人気のコンパクトサイズのお雛さまは、リビングなどの窓が多く日当たりのよい部屋に飾られることが増えました。しかし窓の近くは時間によって直射日光が当たることもあり、注意が必要です。出窓スペースに飾ろうと考えている方がいるかもしれませんが、できれば別の場所を探しましょう。もし、どうしても出窓に置く場合は、日中でも遮光カーテンを引くなど、紫外線対策を考えましょう。
湿気はカビやシミの原因となります。日本の冬は乾燥しがちですが、窓には結露がしやすく、サッシの縁やカーテンにカビがつくことがあります。加湿器をお使いの家も多くなりましたし、雪国では濡れた靴や傘が置かれる玄関も湿気がこもりやすい場所です。雛人形を飾るときは、そうした湿気の多い場所を避けるようにしましょう。逆に、乾燥しすぎる場所も雛人形は苦手です。エアコンやヒーターの風が直接当たるような場所も避けましょう。
お雛さまはホコリも苦手です。雛人形にホコリが付いたままになってしまうと、湿気を含み汚れが付いて、カビやシミ、虫食いの原因になってしまいます。最近はリビングに雛人形を飾ることが増えましたが、家族が頻繁に出入りするリビングはホコリが立ちやすい場所でもあります。最近のLDKスタイルのリビングはキッチンや食卓との距離も近く、料理するときに出る湯気が油煙も知らず知らずにかかり、ホコリに吸い込まれることがあります。湿気や油煙を含んだホコリは固まり、払っても取れにくくなってしまいます。そうなる前に、お雛さまを飾っている間はまめに毛ばたきでホコリを払うようにしてください。
〇ケース飾りなら湿気もホコリも気になりません
飾っている間のホコリが気になるので、ガラスケースセットのお雛さまをご所望されるお客様がいらっしゃいます。確かに、ケース飾りの雛人形は直接お人形にホコリがかからず、いつまでもきれいに飾ることができます。室内の湿気や乾燥もある程度は遮断できますし、お子さまや飼っているペットのいたずら防止にもなります。
ケース飾りには、ガラス製とアクリル製があります。ガラス製は高級感や重厚感があり、インテリア性に優れています。一方、アクリル製は軽くて持ち運びがしやすいのが利点です。また、ケースの中が固定されたものと、そうでないものがあります。固定されたものはお人形もお道具も下台に接着された状態ですので、ケースに入った状態で飾ることもしまうことも可能です。固定されていないものは、ケース飾りではない雛人形と同様に飾り付けや片付けの手間がかかりますが、オプションを追加したり、自由にレイアウトを楽しんだりと、飾り方に工夫を凝らすことができます。
人形工房ひととえでは、現代のインテリアにマッチするスタイリッシュなデザインを追求した完全オリジナルのガラスケースをご用意しています。格調高い雛人形にふさわしい重厚感と高級感、そしてお人形の美しいお色味を損なわない透明感を追求し、試作を重ねてたどりついた自信作です。厚さ5㎜のガラス板を使い、連結部の枠をなくしたフレームレスのモダンなデザインは、まるで宝石店のショーケースのようです。下台は熟練した職人による会津塗で、台の裏までしっかりと溜色が塗られています。ガラスが収まる溝にもフェルトを貼るなど、細部まで丁寧に仕上げております。
多様なサイズのお雛さまにあわせて、特注サイズを含む全12サイズをご用意しています。ジオラマシリーズを除き、ひととえの雛人形は基本的に非固定式です。カスタマイズによるセット変更があっても、豊富なサイズの中からジャストサイズのガラスケースを選ぶことができます。ジオラマシリーズは庭園部分の作り込みのみ固定式になっていますが、お人形やお道具は非固定式ですので、お好みのレイアウトがお楽しみいただけます。