雛人形の相場ってどれくらい?
2020年08月20日
雛人形は種類・大きさ・数で相場価格が変わります</1>
お雛さまは、お人形をはじめ、屏風、台、お道具……と多くの品々で構成されています。ひとつのお人形が分業制で作られているように、これらの品々も日本各地の職人たちが分業で作り上げたもの。人形作家やプロデューサーが厳選しコーディネートすることで、オリジナリティのある魅力的なお雛さまが完成するのです。
よって、何を組み合わせるかで雛人形の価格は変わります。すべてを最高級品で揃えれば高価なお雛さまができますし、それなりの品で揃えればリーズナブルなお雛さまになります。高級なお人形に、ほどほどのお道具を組み合わせることもできます。
このように、雛人形の相場価格はさまざまな要素で決まるので一概に言えないところがありますが、ざっくりと考えたいときに目安となるのは、雛人形の種類・大きさ・数です。
雛人形には、華やかに衣裳を着せ付けた衣裳着人形と、胴体に彫った溝に布地の端を埋め込み衣裳を着せ付けたように仕立てる木目込み人形があります。使う布地の量や着せ付ける手間が異なることから、一般に衣裳着人形のほうが高価で、木目込み人形のほうがリーズナブルです。同様に、お人形が大きくなるほど製作費がかさみ、価格に反映されます。また、同じ品質のお人形ならば、人数が増えるほど高くなりますので、親王飾りより五人飾り・十人飾り・十五人飾りのほうが高価になる訳です。
では、雛人形の種類ごとに、一般的な相場価格をみていきましょう。それぞれ、衣裳着人形と木目込み人形を分けてみます。
〇親王飾り
コンパクトに飾れる親王飾は、いま最も人気のある雛人形です。人数が少なく価格が抑えられる分、サイズアップをしたり、お道具を付け加えたり、衣裳も高級品にグレードアップしたりして楽しむ人も増えています。
衣裳着人形の相場は5~20万円。高級素材を使った作家ものでは、50万を超える高額なものもあります。
これに対し、木目込み人形は3~15万円くらい。こちらも最高級品だと40~50万円するものもあります。
〇三段・五段で飾る五人飾り・十人飾り
五人飾は三人官女が増えた分、十人飾はさらに五人囃子が増えた分だけ、高くなる傾向です。雛段にも種類があり、スチール製の雛段に赤毛氈を掛けたものは、漆塗りなどをほどこした木製雛段よりも安くなります。
衣裳着人形の相場は10~30万円。漆塗りの雛段に美しい蒔絵装飾がほどこされたような立派なものは、高価です。
木目込み人形は5~25万円くらい。コンパクトサイズなので、段飾りになっても卓上置きができるサイズ感です。
〇五段・七段で飾る十五人飾り
随身・仕丁が増えて勢揃いとなった十五人飾りは、お値段もさらに上がります。段数が増えれば、飾るお道具の数も増え、その分価格に影響します。雛段の素材やお道具の仕立てによっても、価格差が生じます。
衣裳着人形の相場は、20~50万円。なかには100万円を超えるような高価な雛人形もあります。
木目込み人形は、15~40万円。人形がコンパクトなので、必ずしも五段・七段と段が増える訳ではなく、少ない段数に収めたり、大きな台に平飾りでレイアウトしたものもあります。
●素材・技術・仕立ての良さでも価格差が出ます
雛人形の相場価格を決めるのは、種類・大きさ・数だけではありません。素材の質や職人の技術、仕立ての良し悪しでも価格が変わってきます。
最も差が出るのは衣裳です。京都の老舗が織る本金を使った金襴織物と大量生産される化繊の織物では、価格が10倍以上変わります。衣裳を着せ付けるボディも、昔ながらの天然素材を使っているものと、大量生産できる発泡スチロールなどを代用しているものでは、価格差が生じます。お道具も木製か樹脂製か、漆を塗っているか、蒔絵がほどこされているかなど、職人の手間暇がかかればかかるほど高額になります。有名作家の雛人形は、ブランドのネームバリューだけでなく、衣裳や小物も格調高いものを組み合わせることから、結果として高価なものになっています。このほかにも、テレビコマーシャルを打つような有名ブランドの商品には、広告費やプロモーション料が上乗せされています。
相場価格は雛人形選びの大きな目安ではありますが、一番は手の届く範囲で満足できるお雛さまを見つけること。ひとつのお店だけを見て決めるのではなく、違うお店やサイトもリサーチして、気に入った作風のお雛さまを探してみましょう。
●ひととえの価格帯と売れ筋の相場
では、人形工房ひととえの雛人形についても、お取り扱いの価格帯や売れ筋の相場を具体的にご紹介しましょう。ひととえが展開する雛人形ブランドは2つあります。
一つは、ひととえが誕生した2010年からお作りしている「かがやき」シリーズ。コンパクトながら、伝統の技と厳選した素材によって生まれる格調高い雛人形で、モダンなデザインが若い世代を中心に長く支持されてきました。メインは木目込み人形ですが、「かがやき」のお顔を付けた衣裳着人形もご用意があります。木目込み人形は3サイズ展開で、親王飾り、五人飾り、十人飾り、十五人飾り、立雛とバリエーションも豊富です。衣裳着人形はワンサイズ展開で、親王飾りと五人飾りのお取り扱いがあります。
もう一つは、「かがやき」の姉妹ブランドとして2020年にデビューした「ふわり」シリーズ。伝統工芸のなかにある “かわいい” を引き出し、パステルカラーの衣裳と白を基調とした屏風や飾り台で現代風にコーディネートしたニューフェイスです。木目込み人形のみのワンサイズ展開で、親王飾りと五人飾りのお取り扱いに限定することで、「かがやき」よりもリーズナブルな価格設定が実現しました。
ひととえの木目込み親王飾りの価格帯は、「かがやき」が9~16万円、「ふわり」が3~6万円。人気の高いお雛さまの相場は10万円前後です。「かがやき」はサイズや付属するお道具の数によっても値段が分かれ、衣裳に金彩蒔絵がほどこされていたり、台が収納飾り箱だったりすると、価格があがります。ひととえの雛人形を最もリーズナブルに楽しむには、「ふわり」にお道具が付かないプレーンなお雛様が3万円台からあります。
木目込の五人飾りになると、「かがやき」は12~22万円、「ふわり」は6~9万円という価格帯になります。人気の高い相場は15万円前後。やはりお道具が増えたり、衣裳に特別な装飾が付いたりすると、高くなります。
木目込の十人飾りは「かがやき」のみで、価格帯は19~27万円。売れ筋の相場は20~25万円です。お道具が多いセットや収納飾り台のセットは、金額が上がります。
ひととえの木目込十五人飾りの価格帯は24~30万円です。高いものは、豪華なお道具付きのセットです。人気の相場は25~28万円くらいではないでしょうか。
木目込の立雛は、親王飾りが8~10万円、五人飾りが12万円程度になっています。やはり主流は座り雛ですので、立雛は種類も少なく、価格もさほど差がありません。
「かがやき」でお取り扱いのある衣裳着人形の価格帯は、親王飾りが14~18万円、五人飾りは21~30万円です。やはり木目込人形に比べると高めの相場となっています。
雛人形の種類に関係なく、ひととえで売れ筋の相場価格は15~25万円といったところでしょうか。予算を20万程度で考えている方が多いように感じます。お気に入りのお雛さまを見つけたのに予算が合わない場合もあるかもしれませんが、ひととえの「かがやき」シリーズはお道具を個々に取り換えたり、付け足したりすることができる自由なお雛さまです。「ふわり」も台・屏風・お道具のセット単位で交換が可能です。プレーンなお雛さまを選んで、予算にあわせてお好きなお道具をカスタマイズすることもできますし、初節句には親王飾を買って、お嬢さまの成長とともにお人形やお道具を買い足していくという楽しみ方もあります。雛人形に関する考え方は、昔に比べてずいぶんと寛容になってきました。相場は参考までに、予算にあわせて自由な発想でお雛さまを選んでみてはいかがでしょうか。